第48章 謝罪

南坂海乃は震える手でスマホを取り出し、110番にかけた。

つながるまでの数秒。視線が、ソファの縁からだらりと垂れた江原武の手に吸い寄せられる。

血で汚れたその手は、なにかを強く握りしめている――そう見えた。

恐怖と吐き気を必死に押し殺し、南坂海乃は一歩ずつ近づく。しゃがみ込み、こわばった指を開かせるのに、かなりの力が要った。

……何もない。

あるのは、爪で引っかいたような傷跡だけ。死の間際に暴れた痕なのだろう。

どっと押し寄せる失望。南坂海乃はふらつきながら立ち上がり、天地がひっくり返るような眩暈に襲われた。

「もしもし、110番ですか……通報です……旧市街の南側で、人が死んで...

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